昨年亡くなった山田太一脚本のテレビドラマ「ふぞろいの林檎たち」が好きだった。
特に最初のシリーズが大好きだった。
最初のシリーズの主人公たちは大学4年生の設定だったが、その頃Gも大学生だったので、自分事のような気持ちで、かなり感情移入して見ていた。
その頃大好きだったサザンオールスターズの曲が随所に使われていたことも、はまった理由の一つだ。
10年ほど前だったと思うが、休日の昼下がり、ネットでこの「ふぞろいの林檎たち」を見ていた。
そのとき妻に、「このドラマ、おもしろかったなぁ」と、話をふったことがあった。
すると妻は「わたしはあんまり好きやなかった」と意外な言葉を返してきた。
「なんで?」と聞くと、「わたしの学生時代は、経済的に苦しくて、対人関係もあまり良くなった。あんなふんわかとした学生生活は、自分とは無縁やったから」とのこと。
劇中の人物たちは、学歴差別に苦しみながら、それぞれ苦労して生きていたように思うが、妻から見ると、「自分とは無縁のふんわかとした学生生活」に見えたようだ。
確かに妻の青春時代は、気の毒な境遇だった。
中流家庭でのほほんと生きてきたGには、想像もつかないような苦労をしてきたのだろう。
これ以降、「ふぞろいの林檎たち」は、妻がいないときに見るようになった。